女性の患者さんから、ばね指の相談を受けました。
左手の親指を曲げて戻すときにスムーズに戻らない。みると曲げて戻すときにひっかかる感じが強く、カクンとなる。曲げ伸ばしをすると痛みもある。
西洋医学的には対症療法としてステロイド注射、いずれ手術といわれる。(ステロイド注射は発症後に一度受けたとのこと)
漢方医学的には末端の血流改善に働く温性の漢方薬で改善した事例が学術誌や先輩たちから報告されている。問診をするとやはりかなりの末端冷え性。一般的にばね指に多いのはゴルフやテニスなどのスポーツで酷使したものが多いらしいが、そういった原因がみあたらないため、体質的なものと思われる。
漢方医学的には末端の血流改善に働く温性の漢方薬で改善した事例が学術誌や先輩たちから報告されている。問診をするとやはりかなりの末端冷え性。一般的にばね指に多いのはゴルフやテニスなどのスポーツで酷使したものが多いらしいが、そういった原因がみあたらないため、体質的なものと思われる。
舌診は微白苔、潤で太陰病位の様相。初発部位は左親指で、現在も左親指にばね指の症状があるが、右も若干腫れぼったい感じがあったという。
まず現在症状のある左親指に絞って糸練功で確認していくと学術誌で報告のある末端冷え性に対する漢方薬が適する反応が確認できる。報告通りの漢方薬をひとつ提案して経過を見ていただくことにしました。
約1ヶ月後、ばね指の症状はまだあるが痛みは減少。患部が柔らかくなった感じがする。
1ヶ月半で腫れた感じと痛みはかなり減少した。手を広げて指を伸ばすとまだ若干痛むが、概ね良好な様子。
そのまま同じ漢方薬を続けたところ、2ヶ月半ほどで左親指のばね指の症状は消失した。
「手術をしなくて済んだので良かったです」と喜ばれたのだが、なんと不思議なというか残念というか、今度は右の親指にばね指症状が出て来たという。
「手術をしなくて済んだので良かったです」と喜ばれたのだが、なんと不思議なというか残念というか、今度は右の親指にばね指症状が出て来たという。
左親指はまったく症状がなくなり、スムーズに曲げ伸ばし出来るようになったところから考えると、漢方的な方向性は間違っていないと考えられる。より完成度を高める方法を探す。患部と全身状態を参考に、基本の漢方薬だけでは消えない部分は水滞がやや強いためではないかと思われた。
基本の漢方薬と同じく温散に働き、水を動かす補助剤を選んで提案し、基本の漢方薬に併用して経過を見てもらった。
3週間後、右はまだひっかかるが以前より曲げた後に戻しやすくなった。左親指に再発はない。同様にして引き続き経過をみている。
スポーツなどで指を酷使したばね指に対しても同じ漢方薬で効果がみられた例があるが、これらの場合、体質的に末端冷え性とは考えにくい事例もあり、おそらく負荷がかかった結果として部分的にこの漢方の適応する証を呈するのかと思う。例えば、腰痛・坐骨神経痛は人間の構造+加齢の問題で、誰しも起こりうるものであり、体質がまったく違う人であっても漢方的に同じ薬で良くなる人がいるように。
この患者さんの場合は、体質的な末端冷え性のひとつがばね指に現れたと考えると体質改善がしっかりされるまで油断できないのではないかと考えています。
他にも同様の患者さんからの相談があれば、もっと考察ができるのですけど…